恒常性の発動と病気の症状
自然界には「恒常性」という仕組みがあります。
崩れたバランスを元に戻そうとする力のことで、ともすれば一見事態が悪化しているように思えてしまうもの。でもそこには大切な意味が込められているのです。
元の自然な状態に戻すためにわざと症状を引き起こしている、そう捉えることができるからです。
例えば土に肥料や農薬などの異物を投入すれば、土は元の自然な状態に戻そうとします。具体的には病虫害や病原菌による野菜への被害。植物の体を通して土から異物を取り出そうとする、虫や病気はそのために働いてくれている・ありがたい存在と見ることができるのです。
でも、今の農業は虫や病原菌をそうは見ない。悪いのは虫や菌であるからそれを農薬を使って徹底的に殺戮し駆逐していく。
その結果、土を元の状態に戻す機会が失われ、汚れっぱなしとなってしまう。そして農薬肥料多投型の農業に歯止めがかからないのが現状です。
人も悪いものを食べれば下痢や嘔吐で体外に出そうとする。体にとって好ましくない菌が入れば熱を上げることで菌の活動や増殖を抑えようとする。
それでも症状を敵視して解熱剤や下痢止めで恒常性の発動を力づくで止めようとするわけです。
その結果、事態をより難しく解決が困難なものへと捻じ曲げてしまう。それが今の農業や医療のあり方のように感じます。
迷惑で困った存在が実はありがたく有益な働き手。そのような見方をすることも必要ではないかと思います。