キズには消毒・殺菌剤の無差別性について
殺菌剤。
医療においても、農業においてもよく使われる薬剤です。
菌は危険で汚いもの。
だからキズを負ったときなどは、殺菌剤を使って患部を消毒するように!
そんな風に学んできたわけです。
殺菌剤は文字通り、菌の活動を弱め殺すためのものですが、使う際はメリットばかりではないことも事実。
無差別で殺菌してしまうので、良いも悪いも一斉に殺戮してしまうのです。
私たちの体には150兆匹と言われるほどの常在菌たちに覆われています。
腸内細菌は有名ですが、皮膚常在菌や口内細菌などおびただしい数の菌たちと共生関係を結んでいるのです。
皮膚常在菌でいえば、体にとって好ましくない菌が付着すると、特別な酸を出して退治してくれる。
またビッシリとかたまりコロニーを形成しているので、外来菌がそもそも繁殖できるだけのスペースを与えない。
このようにして私たちと互恵関係を結んでいるわけです。
でもそこに殺菌剤を使ってしまえば、常在菌も外来菌も同時に殺してしまいます。
それは結果として自らの体を弱めてしまう結果に繋がっていくので、薬剤を使うなら使うで、無差別であることを前提にするべきでしょう。
路地で栽培された野菜の表皮には私たちと同じようにたくさんの菌たちでおおわれています。
1センチ角につき1000万~1億匹と言われるほどの着生細菌たちで覆われているのです。私たちの皮膚常在菌と同じで、病気を引き起こす外来菌を特殊な酸や粘液で退治したりと役立つわけです。
でも殺菌剤を使えば着生細菌も外来菌も無差別に弱めてしまうので、無農薬での栽培がますます難しくなってしまうのです。
殺菌剤に限らず、クスリにはこうした無差別な面があるものなので、使う際は注意が必要ですね。